オスグッド・シュラッター病

オスグッド・シュラッター病（Osgood-Schlatter disease）は、主に成長期（10歳〜15歳頃）の、スポーツを熱心に行うお子様に多く見られる膝の痛みです。

• 大腿四頭筋（太もも前側の筋肉） は、膝のお皿（膝蓋骨）を通り、最終的に脛骨（すねの骨）の上部にある突起（脛骨粗面）に付着しています。

• 成長期は、骨が急激に伸びるのに対し、筋肉や腱の成長が追いつかず、硬くなりがちです。

• ジャンプやランニング、キックなど、膝の曲げ伸ばしを繰り返す運動によって、硬い大腿四頭筋がこの付着部を強く繰り返し引っ張ります。

• その結果、まだ成長途中の柔らかい骨の一部が剥がされそうになり、炎症を起こし、骨の突起が隆起して痛みが生じます。

• 膝のお皿の下の痛みと隆起： 脛骨の前面、膝のお皿のすぐ下の部分が腫れて硬くなり、骨がポコッと飛び出しているのが見て分かります。この突出部に強い圧痛があります。

• 運動時の痛み：

  • ダッシュ、ジャンプ、ボールを蹴るなどの動作時に痛みが強くなります。

  • 階段の上り下りや、正座（膝を深く曲げる動作）でも痛みを感じます。

• 安静時は軽減： 運動を休めば痛みは治まりますが、運動を再開すると痛みがぶり返します。

⚠️ 【重要】 オスグッドの痛みは「成長痛」と誤解されがちですが、れっきとしたケガ（骨端症）の一種です。適切なケアを怠ると、痛みが長引き、スポーツ活動に大きな支障をきたすため、早期の対応が必要です。

オスグッド・シュラッター病の施術目標は、「大腿四頭筋による骨への牽引ストレスを最大限に減らすこと」です。

当院では、単に痛む場所を揉むのではなく、その牽引ストレスを引き起こしている全身のバランスと筋肉の状態を徹底的に調整します。

1. 大腿四頭筋の緊張緩和（メインアプローチ）

   • 硬くなりすぎている太もも前面の筋肉を、負担の少ない手技で丁寧に緩め、柔軟性を取り戻します。これにより、骨を引っ張る力を弱めます。

2. 股関節と骨盤の調整

   • 大腿四頭筋は股関節から始まっているため、骨盤や股関節の歪みをチェックし、膝の安定性を取り戻します。股関節の動きが改善すれば、膝への負担も軽減されます。

3. 全身のバランスチェック

   • 足首の柔軟性や、体幹の使い方もチェックし、スポーツ動作で膝にねじれや偏った負荷がかからないよう、全身の連動性を高めます。

4. セルフケア・動作指導

   • ご自宅でできる正しいストレッチ方法を指導します。特に運動前後のケアが重要です。

   • 痛みを悪化させる悪い姿勢や動作の癖（特にジャンプや着地）を修正し、スポーツを続けながら治していくためのサポートを行います。

オスグッドは、「完全に運動を休止しなくても、筋肉への負担をコントロールすれば回復できる」ケースが多くあります。

痛みを感じたら「休みなさい」で終わらせるのではなく、なぜその部分に負担がかかっているのかという根本原因を解決することが、お子様の成長とスポーツの継続を支えます。

お子様の膝の痛みでお悩みの保護者の方は、お気軽にご相談ください。